「○○さんの納期回答を信用しますからね。」
見積書に書かれた納期を疑うことは、ほとんどありません。
その数字を前提に、生産計画を組み、社内工程を逆算し、発注書を発行する。
だからこそ、その納期が間違っていたと分かった瞬間、すべてが崩れます。
今回は、軽率な納期回答がどれだけ現場を混乱させるのかという失敗事例です。
価格と同じくらい「納期」を見ている
顧客にとって価格と同じくらい大事な「納期」。
実際に注文となれば、製造→検品→出荷と社内工程の逆算を経て、見積書に書いてある納期をベースに注文書を発行します。
顧客からの注文
注文書のメール受信と同時に顧客からTELがかかってきました。
「今回は短納期で対応してもらってありがとうございます。どこも長納期だったんで助かりましたよ。」
好意的な反応でしたが、私は小さな違和感を覚えます。
「ご連絡ありがとうございます。今いただいたメールの注文書の件ですよね?確認しますね。」
そこに書かれている型式は私が回答しているような納期で入荷する製品ではなく、文字通り「長納期」製品でした。
「この部品が入らないから生産止まってたんですけど、本当にありがとうございます。」
私の心とは裏腹に顧客からは感謝の気持ちがあふれています。ここでいい加減な返事をすればもっと顧客に迷惑がかかる。私は意を決しました。
「○○様。。。大変申し訳ございません。私が見積書で回答している納期は間違っております。実際は○ヶ月かかる長納期製品です。」
「えっ!!??在庫持ってるから短納期で書いてくれたんじゃないんですか?」
そこには苛立ちとも、呆れともとれる感情が入っていました。
言い訳に走るも時すでに遅し
私は咄嗟に説明を続けました。
「メーカーへ最短で手配し納期調整を行います。」
苦し紛れの言い訳です。製造納期を考慮すると、顧客が希望する納期に届けるためにはメーカーに在庫が無いと間に合いません。
顧客から返ってきたのは、静かな指摘でした。
「見積提出の時になぜ確認しなかったのですか?この製品は納期がかかるということは周知の事実です。」
「回答してもらった納期で生産を組んでいるので1からやり直しですよ!!E/U(エンドユーザー:最終顧客の事)にも訂正が必要です!」
すでに動き出した他部品の工程は止められず、生産計画は完全に崩れました。
いい加減が招く信頼低下
TELの数日後メーカーへの在庫確認結果を伝えます。もちろん在庫は無く、希望納期での納入は不可能です。
顧客からは、各方面への謝罪と調整を行い、納期の問題は解消したと告げられました。
「とにかく最短納期で入れてください」。
冷たく刺すような一言でした。
私の軽率な納期回答で、顧客が本来する必要のない謝罪をさせる結果となりました。
- 確認せず適当な納期回答
- 注文書が来るまで確認をしていない
- 取り繕う言葉
それら全てが顧客に見透かされていました。
納期回答は喜び・悲しみを与える刃
もし、見積提出前にしっかりと長納期製品であることを認識していれば、結果は違ったかもしれません。
納期回答を軽く考えていた結果、顧客に「一時的な喜びと元に戻せない悲しみ」を与えてしまいました。
まとめ|見積は信頼の証
今回の失敗から学んだことです。
- 提出前に製品ごとの納期確認
- 間違った納期回答はすぐに連絡し訂正
「納期回答」は顧客担当者だけでなく、関連するすべての部署に影響を与えるものです。
この案件以降、納期回答については提出前に確認をするようになりました。
それでもミスを100%減らすことはできないのかもしれません。
納期回答は価格と同じくらい重要な要素である。
一瞬の安堵と、元に戻せない混乱。
納期は数字ではない。
それは、相手の段取りそのもの。
それを痛感した失敗でした。
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