お客様は神様ではない|電子部品営業が学んだ「断る勇気」

お客様は神様!

そう思っていた時期がわたしにもありました。

ですが、10年の営業生活の中で必ずしも「お客様は神様」は正解ではないと気付きました。

今回の記事では私の実体験をもとにそう思ったエピソードを紹介します。

目次

顧客要求の内容の精査

ある顧客から下記のような依頼が来ました。

顧客

貴社納入いただいている製品にて外観不良が発生しております。
(数量は1個。)つきましては赤伝票処理をお願いいたします。

logipapa

一度社内確認をしますので少々お待ちください。

依頼内容としてはわたしが納入している製品の外観不良ということでした。

顧客の要求としては「赤伝票処理」を要求されました。

顧客目線

顧客とすれば納入された製品の外観不良があれば、赤伝票処理をしてほしい。というのは至極まっとうな要求ではあります。

それ自体に違和感は有りません。

営業マン目線

次に営業マンとしての目線です。

ここですぐに上司に相談し、赤伝票処理を打診するのは早計です。

まずは以下内容を確認することが必要です。

  • 外観不良の内容(どのような不良なのか?を確認する)
  • 発生場所の特定(納入段階から発生しているのか?)
  • 使用有無(該当製品は使用されているのか?)
  • メーカーに代品を納入してもらえるのか?

赤伝票処理というのは”金銭”の伴う処理となります。

”金銭”の伴う処理はデリケートな案件ですので社内申請を行うにしても、

まっとうな理由が必要です。

詳細を調べていくと

今回の案件を調べていくと、顧客が当該製品を使用していることが分かりました。

なぜ分かったのかというと、送られてきた現品の写真を見ると

リード線が加工されていたのです。

これでは、先ほどのチェック項目にあった、「発生場所の特定」が困難になります。

なぜなら、一度使用をしていると

  • 使用している時に外観不良に至った可能性がある
  • 発生場所の特定が困難(最重要ポイント)

ということになります。

赤伝票処理は100%こちらの責任ではない限り受けるのは得策ではない

これはわたしの営業経験からの考えにはなりますが、

安易な”赤伝票処理”はやるべきではないと考えます。

その理由を紹介します。

➀ 前例を作ってしまう

内容を精査せずに要求を受け入れることで、

顧客

この会社は押せば要求を受け入れてくれるな。

という前例を作ることになります。

一度受け入れてしまえば、

顧客

前回と同じで処理をお願いします。

と、簡単に依頼が来ることにつながります。

仮に顧客側の問題では?というような案件の時に、

顧客

前は受けてくれたのになぜ今回は受けてくれないんですか!?

ということにつながり、一度受け入れたことにより本当に受け入れられない時に余計な手間がかかります。

② 社内処理として費用対効果が悪い

今回のように数量が1個ですと、金額に換算すると、

数円〜多くても100円以下になります。

金額にしてみれば少ないですが、何回も言っている通り”金銭”が伴います。

たった数円のために、

  • 上司への説明
  • 赤伝票処理の書類作成
  • 経理部署への説明

膨大な時間と手間がかかります。

この仕事が果たして利益を産んでいるでしょうか?

答えは「ノー」

営業の仕事は「赤伝票を書くこと」ではありません。

本来、売上を作るために使うべき時間を、数円の処理に費やしているのです。

それは会社にとっても、自分にとっても、本当に価値のある仕事でしょうか。

メーカーへの代品要求も案件内容による

じゃあメーカーに事情を説明して代品を納入してもらうのはどうか?となりますが、

これも正直難しいと思います。

なぜなら、メーカーとしても代品を納入するときにはこちらと同じように、
100%メーカー責任でなければ基本対応してくれません。

今回の場合ですと基本的に受けてくれる可能性は限りなくゼロです。

メーカーとの関係性や、顧客の売上金額的に、「今回だけの特別対応」というものが発生する場合がありますが、

根本的な解決にはならず、ベストな選択とは言えません。

仮に連絡しても、

メーカー

写真見ましたけど、これ使ってますよね!?

メーカー

どちらが悪いって特定できないので代品は出せません。

以上。となります。

毅然とした対応が自分を守る

わたしが行った対応は、

ズバリ、赤伝票処理をしない。という対応です。

理由はこれまで述べてきた通りです。

  • 赤伝票処理をする理由が無い(顧客が使用している)
  • 発生場所が特定できない
  • 前例を作ることがベストではない
  • 金銭の伴うやり取りに曖昧さは必要ない

当日の会話のやり取りを簡易的にですが記載します。

logipapa

先日ご連絡いただいた外観不良の件ですが、
弊社としては”赤伝票処理”は出来ません。

logipapa

理由については今から説明させていただきます。

logipapa

今回の案件については貴社にて使用している形跡が見られます。
使用している以上、外観不良の特定は困難です。
もしかすると貴社工程で発生している。という可能性がある為、
弊社としては赤伝票処理を受けることは出来ません。

ここは毅然とした対応が必要です。

間違った対応をしているわけではなく、先方の要望が出来ない理由を伝えることが重要なポイントです。

顧客

logipapaさんの仰ることはもっともです。

顧客

一度社内で確認しますので少々お待ちください。

logipapa

分かりました。

まだ本件は解決はしていませんが、安易に赤伝票処理を受けていれば、

  • 前例が出来る
  • 使用している製品でも対応してもらえると思われる
  • 赤伝票処理のハードルが下がる

自分にとって何のメリットもない結果となっていたと思います。

無理難題案件のQ&A

顧客から無理難題の案件が来ました。顧客の要求通りにするのが正解ですよね?

まずはどんな案件なのか顧客に確認をとってください。安易に要求を受ける必要はありません。

赤伝票処理してほしいと言われています。

あなたの会社が100%責任があると判断できるのであれば問題ありませんが、そうでないのであれば応じる必要はありません。

顧客の要求を断ると関係にヒビが入りそうで心配です。

言い方には気をつける必要がありますが、できないことをできない。ということは何もおかしくありません。

まとめ|過剰な特別対応は、双方にとって不幸な結果を招く

何でも要求を受け入れることは、短期的には関係を築けた。と感じるかもしれません。

ですが、長期的に見ればそれは顧客を増長させることに繋がり、

あなた自身が苦しむ結果になります。

そうならないためにも毅然とした対応で、

できないことをできないと伝える。

それが顧客もあなた自身も救うことになります。

本来重要なのは「誰が悪いか」を決めることではありません。

同じ問題を繰り返さないために、発生場所を特定し、原因を明確にすることです。

だからこそ、安易な赤伝票処理ではなく、事実確認が必要なのです。

まずは顧客の要求が本当に正しいものなのか?そう考えることから始めてみませんか?

筆者について

電子部品業界で10年以上の営業経験。
電子部品商社で営業として勤務。
短納期対応・納期トラブルを多数経験。

現場で実際に使っている実務ベースのノウハウを発信しています。

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